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2022.03.15 生徒の活躍

KIMUN 2022を終えて

2022年3月2日(火)、都シティ大阪天王寺 吉野の間という華やかな会場で、今年度の締めくくりとなる一大イベント、KIMUN(学内模擬国連大会)2022が開催されました。

 

今年の議題は“Achieving Gender Equality and Empowering all Women and Girls”(ジェンダー平等の達成と女性・女児のエンパワーメント)、決議案作成のトピック2つは“Empowering Women and Girls through Education”(教育を通したエンパワーメント)そして“Empowering Women and Girls in Rural Areas”(農村部におけるエンパワーメント)でした。

 

「ジェンダー」とは歴史的・文化的・社会的に形成される男女の差異を指します。

地域・国・文化・宗教・民族などによって認識が違う複雑な「ジェンダー」というテーマを模擬国連大会の議題として扱うのは初めてのことです。


 

世界経済フォーラム(WEF) が毎年公表している「ジェンダーギャップ指数」とは、経済活動や 政治への参画度、教育水準、出生率や 健康寿命などから算出される、男女格差 を示す指標です。日本は2021年度のジェンダーギャップ指数で156か国中120位というランクです。生徒たちに「普段、日本で暮らしていてジェンダー不平等を感じる?」と問いかけても、「あまり感じない。」という答えが多く、この低いランクに驚く生徒も多くいました。

日本のランクがこれだけ低いのは経済活動、それ以上に政治への参画度における格差が大きいためです。この格差というのは生徒たちがKIHSを卒業し、進学等を経て社会に出たときに感じるものかもしれません。もしくは、その頃には経済面でも政治面でも状況が良くなっているかもしれません。彼らがこれからの日本社会を創り上げていく存在なので、期待したいと思います。

 

今大会で2・3年生の生徒たちは様々な国の代表を担当しました。例えばジェンダーギャップ指数1位のアイスランド。アイスランドもかつては男性優位社会でしたが、女性たちが職場・家庭で一斉にストライキを行うという大胆な行動を取ったことによって格差是正の様々な取り組みが進展しました。その結果、現在のアイスランドでは父親の育休取得率が約7割以上、その間の給与の8割は国からの支給という制度が実現し、男女問わず子育てに向き合うことが可能となりました。また、クオータ制の導入により会社役員や公共の委員会などのメンバーは男女共に40%を下回ってはいけないとされています。2018年には男女の賃金格差を違法とする世界で初めての法律が制定されました。

 

このような国がある一方で、アジアやアフリカなどの途上国では女性器切除や名誉殺人などが日常的に起きている国や、児童婚、家事手伝いや児童労働など様々な理由で学校教育さえ受けることができない女の子が多くいます。一例としては学校に通っていることを理由にイスラム原理主義のタリバン勢力に銃撃されたパキスタンのマララ・ユスフザイさんの存在などが有名です。

 

生徒たちは担当国のジェンダーをめぐる状況についてリサーチすることで、日本の「当たり前」が他国では全く当たり前でないことを知ります。それが、日本のジェンダーをめぐる諸課題についても考えるきっかけとなってくれたことを願っています。

 

大会本番は司会進行、スピーチ、質疑応答、修正案の提案など原則として全て英語で行われます。普段のKIHSの授業で身につけた英語4技能を実践的に使う機会です。大会後の感想文からは普段の努力の成果を実感できた生徒や、自身の伸ばすべき技能について再発見できた生徒もたくさんいたようで、自分の英語に対する取り組み方を振り返る良い機会になったと思います。

 

スーツ姿に身を包んだ2・3年生はいつもより堂々として見えました。見学に来ていた1年生も2・3年生の活躍に多くの刺激を受けたようでした。今年も3年生が本当にしっかりと2年生をサポートしてくれ、彼らの成長を感じました。

3年生の皆にとっては最後の模擬国連大会だったかもしれません。どうか、卒業後も世界で起きている様々なことに関心を抱き、心を動かされる人であって欲しいと願っています。

 

 

社会科教員

小谷真貴子

 

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