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2022.07.04 先生のつぶやき

特別授業「マネーリテラシー教育」を行いました(2)

前回マネーリテラシー教育(1)のブログを上げました。今回はその続きとなる「増やす力」についての授業内容をご紹介します。

 

 

 マネーリテラシー教育②「お金を増やす力編」

【はじめに】

お金を増やす力を上げるには、労働所得と資産所得を増やす事が重要となる。労働所得とは、自分が働く事によって得られる収入の事を指し、資産所得とは貯えたお金に働かせて得られる収入の事を指す。配当や利子所得などがこれに当たる。今回はどのようにして資産所得を築くかという部分に焦点を当てて授業を行う。

 

【投資前にすべき事】

まず投資をする前に必ずしなければならない事がある。それは、生活防衛資金を用意する事である(マネーリテラシー教育①ブログ参照)。投資とは余剰資金で行うものであり、生活防衛資金は絶対に投資に回してはならない。この前提が崩れると生活が破綻する恐れがあるので注意が必要だ。次に投資における相場を知る事が必要だ。株式投資の場合、投資で得られるリターン(利回り)は長期保有を前提とすると年利平均約4~7%程度だと言われている。そのため、相場からかけ離れた利回りを謳う金融商品があればそれが詐欺ではないかという疑いの目を持つ事も大切だ。野菜や果物の価格相場は多くの人が知っているが、株式投資利回りの相場を知っている人はそれほど多くない。そのため、投資における相場を知る事は非常に大切である。

 

【様々な金融商品】

株式とは、株式会社が個人や企業から資金調達するために発行するものである。株主(株式購入者)は、株の値上がりや配当金によって利益を得られる。暴落や暴騰の可能性があるが、適切な投資先へ長期運用すれば一定の水準に落ち着く事が多い。債券とは、国や企業などが資金調達するために発行する借用書の事である。債券購入者は債券価格の値上がりや利子によって利益を得られる。債券を購入するという事は購入先にお金を貸すという事を意味する。株式よりもローリスク&ローリターンである事も特徴の1つだ。預金とは、お金を銀行に預ける事で利益を得られるものである。ただし、メガバンクの普通預金金利は0.001%程度しかないため、インフレに弱く、預け続けると資産が目減りするリスクがある。

 

【株式投資について】

株式投資に関してもう少し深堀したいと思う。株式を長期運用(保有)する事で、2つのメリットを享受する事ができる。1つは収益が安定する点である。株式を長期運用する事でリスクとリターンの振れ幅(=ボラティリティ)が小さくなっていく。そのため、20年以上運用する事で収益は安定してくる。2つ目は複利の力が活きる点である。複利とは、毎年もらえる配当金や利子を再投資する事で、利子にも利子がつく状態を指す。はじめは小さな額だが、長期運用する事で複利の力は増大し、やがては投資元本を大きく上回る利益が生じる可能性が高くなる。

株式運用する上で注意すべき点が4つある。1つは投資先を分散させる事にある。「全ての卵を1つのカゴに盛るな」という投資の格言がある。これは、もしそのカゴを落としてしまうと全ての卵が割れてしまう(=特定の企業に集中投資をすると、その企業が倒産すると全ての資産を失ってしまう)という事を意味する。そのため、大金を特定の企業に集中投資するのではなく、広く浅く投資する事が重要であると言える。2つ目は時間と金額を分散させる事である。大金を一括で投資すると、その後に暴落すると大きな損失が出てしまう。そのため、少額を長期的に積み立てて購入する事でそうしたリスクをある程度回避する事ができる。この購入方法をドルコスト平均法と言う。3つ目は手数料が安い投資信託(ファンド)を選ぶ事である。いくら優秀な投資先であったとしても、高額な手数料を取られてしまっては利益が減ってしまう。私が考える目安としては、手数料が0.2%以下の投資信託を選ぶと良いのではないかと考える。4つ目は税金優遇制度を活用する事である。株式を売却する場合は利益の約20%を税金として国に支払う事になる。しかし積み立てNISAのような税金優遇制度を利用する事で、売却時に税金がかからないというメリットがある。まずはこうした制度を活用すると良いだろう。

 

【投資信託について】

投資信託(ファンド)とは、たくさんの投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が代わりに投資・運用する商品の事である。先述した手数料は、投資信託の信託報酬に該当する。投資信託の利点は、少額で多くの企業に分散投資する事ができる点にある。そのため、ドルコスト平均法で購入するには相性が良い投資先であると言える。

 

【最後に】

お金の勉強をする事は、生徒の皆さんの今後の人生を豊かにするための第一歩です。今日が人生で一番若い日です。あとは学んだ内容を実践するかどうかで皆さんの今後の人生が変わるでしょう。皆さんがKIHS卒業後に輝かしい毎日を過ごす事を願っています。今回の授業内容を考案する上で参考にした文献を最後に載せておきます。学校の図書コーナーに置いているので、興味があれば是非目を通してみて下さい。これで授業を終わります。

 

 

【参考文献】

・お金の大学(両@リベ大学長)

・漫画版バビロンの大富豪の教え(ジョージ・S・クレイソン, 坂野旭他)

 

1年2組学級担任 谷本浩瑛

 

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