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2022.09.20

在日米国大使館助成プログラム(GUP)とドイツ留学を経験して

皆さんこんにちは!

Hallo allerseits!

Olá a todos!

¡Hola a todas!

مرحباً جميعاً!

 

3年生の金田あおいアリシアです。

今回は、今年の夏休みに参加した在日米国大使館助成プログラムGUPに参加させて頂いた経験と、今年の2月から3月にかけ短期留学したドイツでの経験を紹介させて頂きます。

 

まずGUPとは何か?

在日アメリカ大使館の助成プログラムとして、講演、ワークショップ、ディスカッションの3つを組み合わせて行います。

フルブライト奨学金など、アメリカ国務省人物交流プログラムの卒業生を中心として、各界で活躍する国際感覚豊かなメンターが、企画、運営、教育コンテンツの開発を行っています。参加者は、同世代の女子中高生やメンターと対話を重ねる過程で、自分と異なる経験や考え方、価値観に触れ、視野を広げることができます。2種類のエッセイによる選考をクリアした者のみ参加できるプログラムです。

 

8月に毎週水曜にオンラインで行われ、私自身にとっても本当に貴重な経験となり、私の考えを変えてくれる方にも出逢うことができました。

このプログラムでは、いくつかのグループに分かれて、そのグループで直接世界で活躍している女性と話す事ができます。

私は3人の女性、在クウェート米国大使館で勤務する方、アメリカ人として1発で早稲田大学に現役合格された方、アジアを中心に外交官として活躍されている方と直接話すことができました。

その時に私が1番印象に残っていて、私自身の考えを変えてくれた事を書きます。

 

皆さんは、” Third Culture Kid “ (TCK) という英語の言葉はご存知ですか?

両親の文化(第一文化)と、居住国の文化(第二文化)の二つを経験し、それらに適応していく過程で、第三文化と呼ばれる独特のブレンド文化を創造された人、それがTCKです。

TCKの特徴としては、国籍、人種、宗教など関係なく、1人の “人間“ として上記の事に囚われず自信を持って生きれると言う事です。

実際に私もTCKという言葉をもっと小さい頃に知っておけば良かったなと思いました。

何故なら私は日本を含む東アジアとブラジルなどの南米にルーツがあり、幼少期は海外と日本どちらでも過ごした事がある経験から、当時 ”Where are you from?”  と聞かれたら、どう答えていいのか分からなかったからです。普通なら国籍を答えるものだと思うかもしれませんが、当時の私の頭と心の中では日本人でもないしアメリカ人、ブラジル人でもない、じゃあ私は一体何者なんやろうと幼いながらに悩み、親にも誰にも相談できずに思春期に入り、より一層自分のアイデンティティ(自我)について深く考えるようになりました。

というのも、私の幼少期初めて心を開けるようになった親友は日本人ではなくドイツ人。日本の公立中学時代によく遊んだりしていた友達も日本人ではなくインド人やフィリピン人、オーストラリア人など。中学時代は正直自分から日本人を避けてる部分もありました。

何故なら、私が海外に居た事と話す言語について当時に公立の中学で日本人の生徒が “日本人にお前みたいなやつおらんわ” などとからかわれた経験があったからです。今思えばすっごく小さな事ですが、当時の私がTCKって言葉を知っていれば、もっと自分の事を認めることができて強くなれて彼らに立ち向かえてたのではないかなと思いました。

現在は私はこの事があったからこそ日本の文化や言語がより一層好きになり、世界の友達に発信する事が今とても楽しいです。

だからこそ私はGUPに参加し、自信を持って私はTCKだと答える事ができ、TCKについて日本にももっと広めるべきだと思いました。

現在日本に住む未成年の30人に1人は外国にルーツを持つ子どもです。本校KIでも外国にルーツを持つ生徒もいます。彼らは日本で思春期を迎えると私のような問題にぶつかる人も多いと思います。でもそれは日本だけに限らずどこの国でも起こり得る問題点です。その問題にぶつかった時、自己肯定感が低くなったり、劣等感を感じる事もあるかもしれません。そういう時にこの “TCK” という言葉があると本当に沢山の子ども達が救われると思います。周りに外国にルーツを持っていて困ってる友達がいれば、是非この言葉と言葉の定義を教えてあげて下さい。

このGUPが秋にもう1度同じ形で開催されます。エッセイでの選考はありますが、是非参加してみてください。新しい考えや価値観と出逢えるチャンスです。

 

ドイツ留学について

日本で留学と聞くと、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドがメジャーな5カ国だと思います。

それなのに、何故私がドイツ留学を選んだのか、それは単純に私の親戚にドイツ語を話す人が多く、幼い頃からドイツ語をペラペラ話す姿に憧れを抱いていたからです。

そして高校1年生の時に留学費用を貯める為にアルバイトをして、そのアルバイトで貯金していたお金を使って高校2年の終わり頃にやっと念願のドイツへ留学する事が決まりました。

そして私は今年の2月から3月にかけて約1ヶ月、ドイツのバイエルン州に短期留学をしていました。

 

留学中はバイエルン州のニュルンベルクにある、シギナ ギムナジウム(Sigena-Gymnasium)という中高一貫校に通っていました。

 

ここで少しドイツの義務教育について記します。

基本的にドイツでは、小学校卒業後の進路は3つの選択肢の中から選ばないといけません。基本は公立です。

まず私が通っていた、ギムナジウム(Gymnasium) は日本でいう中高一貫です。小学生のほぼ50%がギムナジウムに入学します。ギムナジウムは大学進学を視野に入れている生徒向けの学校で、高校卒業認定資格資格と大学入学資格資格が取れるようになっています。

ハウプスシューレは、高校卒業後に就職ができます。中高一貫ですが卒業までの間毎週職業学校で学ぶ義務があります。卒業後の進路は就職以外は選択できません。

レアルシューレは、ハウプスシューレと同じく職業学校で学ぶ義務もあり、卒業後は就職はもちろん、上級専門学校など進学も可能になります。日本で例えると工業系の高校に近いと思います。

ドイツのギムナジウムでの留学経験は本当にとても素晴らしい思い出となり、また人生の1部ともなりました。人種、国籍、宗教関係無く色々な生徒が私に話しかけてきてくれました。私は初登校日に日本の制服っぽい服装で登校しました。そしたら知らない子が沢山 “Schön!“ (綺麗!) や “ wo hast du das gekauft? “ (それどこで買ったの?)など沢山話しかけられ、そこからまた会話が始まり、友達になるという形が多く、おかげで沢山友達も出来ました。

 

ドイツの授業中は絶対やってはならないことがあります。それは手をパーにして挙げる事。ナチスを連想させる事から、ドイツの学校に限らず、ヨーロッパの国々では挙手する時は、人差し指だけをあげるのが一般的です。

私のドイツ語レベルはまだまだ低く、ネイティブのドイツ語の単語1つ1つが速くて聞き取れない授業など沢山ありましたが、仲良くなった友達が英語で助けてくれ、なんとか授業は理解できました。特に仲良くなった友達は、チュニジア人、スリランカ人、セルビア人、ポーランド人、ドイツ人などなど本当に色々な国の人が共存していた素晴らしいギムナジウムライフでした。

 

私のホストファミリーはチュニジア人の家族でした。私のステイしていた地域はアフリカや中東から移民や難民としてドイツにやってきた方が多く、私のホストファミリーもそうでした。またご近所さんはイラクの方、コンゴの方など本当に多国籍で、みんな私に優しく接してくれ、本当に毎日が充実してました。

最後の週は日本風サーモンのお寿司と味噌汁を大量に作り、ホストファミリーはもちろん、お世話になったご近所さんにもみんなに配りました。

 

そして私はまた1つドイツで考えを大きく変えたことがありました。

それはニュルンベルクにあるアラブ人学校での授業補佐を体験した事です。ホストマザーがその学校のアラビア語教師をしていた事から1度来ない?と声をかけて頂きました。

 

まずアラブ人学校とは、アラビア語圏にルーツを持つ子供達がアラビア語を保持するための大切な土曜学校です。先程も言った通りニュルンベルクはアフリカや中東からの移民、難民の方がとても多いです。北アフリカと中東の国々の公用語はアラビア語です。

その学校はモスク内にあるので、私も彼らと同じくヒジャブ(ムスリムの女性が布で髪を見せないようにするスカーフ)を初めて被りました。ムスリム以外でもモスク内に入る時は女性は必ずヒジャブを着用しないといけません。

そして私がとても嬉しかった事は、戦禍や紛争下の国からドイツにやってきた子供達がみんなとっても笑顔で外国人の私に、

السلام !(サラーム)、日本語でこんにちは!とみんな私のところへ寄って来てくれた事です。

私は戦争や紛争を経験した事はない、けれど彼らはこんなにも幼いのにその経験がある、彼らに私は考えさせられました。モスク内で仲良くなり、よく遊びに行っていた2つ年上のシリア人の友達からシリア内戦の悲惨さなどをリアルに聞くことができ、私は彼らのために何ができるんやろ?と深く考えさせられました。

 

この約1ヶ月の間にロシアの軍事侵攻が始まりウクライナから沢山の人がドイツにも逃げて来ていて、戦争というものを人生で初めて身近に感じました。

でも私は自分のことを反省している面もあります。ドイツで直接深くアフリカや中東の沢山の方と関わる機会があったのですが、彼らに出会う前のアフリカと中東の私のイメージは悪いものしかなかったと言うことです。

でも彼らに出会ってからアフリカや中東の国々のイメージが100%変わったんです。それはどれもとても魅力的な国だと言う事。私はその時決めたんです、大学で第二言語はアラビア語を専攻して大学在学中に絶対にシリアのダマスカス(首都)を訪れることを。実際に自分の目で確かめて、シリアの魅力を、そしてさらにシリア以外の色んなアフリカと中東の国々を日本、世界のみんなにもっとシェアして、危ない、危険な国というイメージを取り除きたいと思いました。ちなみにシリアは現在2年間は停戦中で、外国人観光客の受け入れも行っています。

 

新しい国や地域に少しでも踏み出せば、自分の見える世界がとても変わります。

変わるというよりも視野が広がったり、物事への固定概念というフィルターが外れると言った方が分かりやすいかもしれません。現在再び世界全体で観光業の動きが再開してきていますよね。これから日本にも沢山色々な国や地域から多く観光客が訪れる事かと思います。コロナで数年出来なかった海外旅行や留学、過去のホストファミリーや現地での友達や恋人に会いに行くなど、人によって海外に行く目的はそれぞれだと思います。

”人生”という長いスパンで見て、興味のある国や地域はもちろん、現在興味のない国や地域に1歩踏み出す事もあなたのライフプランに入れてはどうですか?

 

3年生 金田あおいアリシア

 

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