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2019.03.06 行事
2018年度KIMUN(学内模擬国連大会)を終えて
KIMUN(学内模擬国連大会) 2/27~3/1
3月1日(金)本校の一大イベント学内模擬国連大会(KIMUN)が開催されました。
議題『持続可能な開発による貧困削減』
今年のKIMUNの議題は『持続可能な開発による貧困削減』でした。
国連が2016年から2030年までの目標として掲げた持続可能な開発目標SDGsの中でも特に「食・教育・労働・消費」に焦点を当ててトピックとし、解決策を生徒達が各国代表に扮して議論しました。
ゲストスピーカーは光長功人先生
準備1日目のゲストスピーカーは長年開発途上国における理数教育の支援を現場で行ってきた光長功人先生です。JICAから開発支援に関わる仕事を請け世界中の途上国を飛び回っておられます。講演の数日前にハイチから帰国されたばかりでした。
講演では生の、現場の様子をとっても分かりやすく話して下さいました。
「教育の質が悪い」「識字率が低い」という表現は、これまでの授業の中でもたくさん出てきたかと思いますが、それが具体的にどういう状態を指すのかということを具体例や映像で見せていただきました。
「先生でも時計が読めない。 なぜなら時計が社会に普及してないから。」
「なぜ50+10=61という答えになるのか。それは線を50本書き、その後に10本書き足して、それをイチから数えるから。数え間違えるんだよね。」
「まず鉛筆が持てない。まっすぐの線が引けない。」
日本では思いもよらない、目から鱗な話ばかりでした。
就学率や識字率は世界中で良くなっていると思っていましたが、数字だけでは分からない、見えてこない課題がまだまだ現場には山積していることがよく分かりました。
◆3年生のリーダーシップ
KIMUNでは3年生が1・2年生にこれまでの経験で培った知識やMUNのテクニックを指導してくれます。今年の3年生はとっても頼りがいのある面々ばかりで、後輩たちを活躍させながらとても上手にリードしてくれました。
まずは、割り当てられた担当国が抱える問題を共有していき、同じ問題を抱える国々のためにも適切な改善策・解決策を考えていきます。
この時ポイントとなるのは英語の授業デモよく耳にする「5W1H」(Who? Where? When? Why? What? How?)これらにしっかりと言及している解決策を考えるということが大切です。
アクターは国連機関が良いのか、企業にも協力を呼びかけるのか、支援の対象とすべき人々は具体的にどのような基準で考えるのか…木川先生の授業で学んだこと等を参考にしながら必死で練ります。
本番の日はチームで考えた決議案草案を、さらにより良いものにすべく全体で議論します。
本番当日
3月1日(金)いよいよ本番の日です。
みんなビジネススーツに身を包み、普段とは雰囲気も違います。
3年生の議長の開会宣言とともに本会議が始まりました。
初めは不安げな表情をしていた1年生もスピーチをこなしたり質疑応答に参加したりと非常に意欲的に取り組んでいました。
1日に3度別のテーマで議論をするので、3回目にはだいぶ状況を理解できるようになり、中には1年生でも修正案を提出する強者もいました。
今年本番を迎える2年生の多くもやる気に満ち溢れ、とても鋭い着眼点で議論を盛り上げていました。彼らはKIMUNも2回目の参加なので「去年より理解できて面白かった!」という声が多く聞けました。
京都で行われるKHSMUNには次期3年生のうち選抜された成績上位者が参加します。MUN大阪は本校が主催し、西日本の11校から参加者が集まる大きな大会です。
ここでの活躍に期待が持てる1日となりました。
KIMUNを終えて…生徒や先生の感想
1年生の感想
・3年生が本当に親身に説明をしてくれて感謝しています。問題が大きい規模なので難しかったです。相手国の利益と自国の利益の中間を探して両方が納得するように考えるのが難しいと思いました。
・初めてのMUNで大勢の人の前で話す事が今まで無かったのでめっちゃ緊張したけど良い経験になりました。私はもっと話す力を強化する必要があると感じました。言いたいことが頭ではまとまっていても、いざとなると言葉に詰まってしまったからです。
2年生の感想
・国によって状況が違うから出る決議案もいろいろな目線からの意見が聞けて良かった。全ての国が納得するというのは本当に難しいことなのだなと思った。
・昨年も参加したが2年になってからの方がMUNに対する興味がとても高まっていた。
・去年なんとなくやっていたことが、今年はしっかり趣旨を理解することができてとても楽しかった。3年生に向けて英語力と国際問題に対する知識・理解を向上させる必要を感じた。
森川先生の感想
3月1日、本校での模擬国連の場に初めて参加しました。準備日(2月27日・28日)を含めた3日間、生徒の皆さんの様子に感心する場面が多々ありました。そこでは人が学び合い成長していく過程を見ることができました。
現実社会の様々な仕事の場で、人は単独で仕事をするよりも何らかの集団やチームで活動をしていきます。集団やチームでは様々な価値観・思考を持つ他者と話し合い、合意形成をしていくことが求められます。模擬国連の場は、このような他者とのコミュニケーションと協働の過程を学ぶ場でもあったのではないでしょうか。そこでは、例えば以下のような活動が展開されていました。
○担当国のメンバーで自分たちが直面する問題を整理する
○担当国のメンバーが個々の知識をつなげていく
○担当国のメンバーで問題解決の方途をまとめ、言語化し、発表する
○他国のメンバーたちからの質問を傾聴し、論点を整理する
○質問に対して担当国のメンバーが回答を出し合い、まとめる
○他国のメンバーと議論や交渉をし、相互の意見を調整し、担当国の提案について合意形成する
10年後、20年後、皆さんは模擬国連での詳細な内容を忘れることがあっても、上記の活動の過程は人生の貴重な経験として記憶に残るはずです。将来皆さんが取り組む多くの仕事の場で、模擬国連での経験と重なる経験をすることもあるでしょう。楽しいことよりも苦労することの方が多いかもしれません。しかし、直面する困難や問題に対し協働して取り組む中で、喜びや達成感を感じていくことも多いと思います。私にとってこの数日間は、人が人とともに学ぶ意義について考える貴重な経験でした。
社会科 小谷 真貴子
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