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2022.06.22 お知らせ

今村翔吾著『塞王の楯』 講演会前の著書紹介

2冊目に紹介したい小説が『塞王の楯』です。

『塞王の楯』は直木賞受賞作品です。

 

 

前回紹介した『イクサガミ 天』よりも歴史要素の強い作品ですが、こちらもとても読みやすく分かりやすいのが魅力の一つです。

日本史に少し抵抗がある、歴史小説は難しそうと思っている人にぜひ手に取って欲しい一冊です!

 

主人公である飛田匡介が生きた時代は豊臣秀吉が治めていた安土桃山時代で、彼は城の石垣を造る職人です。

時代ものの小説というと、武将に焦点が当たりやすいと思うのですが、この作品は職人を主人公にしているので、日本史に疎いわたしでもすんなりと読むことができました。

またお城の石垣は誰でも一度は目にしたことのあるもので、それを造る職人にスポットが当たっており、想像しやすく読みやすかったです。

物語中にも石垣を造るシーンがたくさん登場するので、今後お城を見る見方が変わるだろうと思います。

 

『塞王の楯』というタイトルにある通り、楯とは城を守る石垣のことです。

この城壁の強さを極めることで戦を無くしたいという飛田匡介の志が存分に描かれた作品でした。

戦によって人の命が失われることを防ぐため、彼は命を削って仕事を全うしていきます。

それに対抗する別の信念を持った鉄砲を造る職人との戦いは非常に読み応えがありました。

 

人にはそれぞれ信念があり、自分の信念こそが正しいのだと突き進んでいった結果、人の命を奪ってしまうこともあるという現実を突きつけられるような作品でした。

今ウクライナで行われている戦争に重ね合わせながら読むことができたので、今このタイミングで読んでみて欲しい一冊です。

 

この本を通して、時代は違えども人間の思考や行動は同じであるということを感じ、過去から学ぶことの意義を感じることができました。

なにより物語が次から次へと展開されるので、ものすごく面白いのが一番の魅力です!

 

印象に残った著者の言葉

・「人は元来、自ら死ぬようには出来ていない。生きろ。己の命を守るのだ」

・戦が悲劇を生むと知りながら、何度でも繰り返す。

・恨みはまた次の恨みを生む。

・誰かを守るということは、時に誰かを傷つけること。

・人はその思ったときから歩み始める。

・人との別れはこの世の何処にでも落ちてきて、往々にして突然訪れるということを。

・人が人である限り争いは絶えないのかもしれない。

・人は誰かを傷つけた手で、別の誰かを守ろうとする。人の心の矛盾の象徴こそ、己たちなのだろう。

 

読書家 滝本恵

 

 

『イクサガミ』に引き継き、このブログも娘の滝本恵に書いてもらいました。娘は社会人ながら年間200冊以上の本を読破しており、読書後に感想・書評を書いてインスタにアップ。3,000人のフォロアーがいます。7月7日に今村翔吾先生が来られるので、ブログを書いてもらいました。今村翔吾先生の本は、学校の図書コーナーに揃えております。ぜひ、この機会に先生の本を手に取って読んでみてください。

 

 

なお、講演会のあと時間が許せば今村翔吾先生のサイン会もします。個人で購入した本にはサインしてもらうことも可能だと思います。また、保護者の皆様にもZOOMで今村翔吾先生の講演会を配信させていただきますので、興味のある方はぜひご視聴ください。

 

国際高等課程長(教頭) 滝本武

 

 

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